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命の選択を
ゲームセンターに着いた
中はまだ人が残って楽しそうに遊んでいる
時間はもう夜の12時を過ぎようとしていた
「どうした?」
入口に彼氏の姿が見えた
一瞬どきっと心臓が鳴る
「話があるの…」
伝える覚悟をしてここにきたはずなのに、言葉が喉に詰まってなかなか出てきてくれない
ちらっと友達のほうを見る
友達は私の頭を撫でて
「2人の問題だからちゃんとはっきり言わんといけんよ」
そう言ってくれた
そして
「私…妊娠…したんだけど…」
「えっ?」
予想通りの反応
その時の彼氏の顔を、私はまともに見る事が出来なかった
「それは病院で検査したの?」
「まだ…だけど昔…」
そのやり取りを見ていた友達が口を挟んだ
「市販の妊娠検査薬でも、90%は確実だから。論より証拠。車から持ってきたら?」
友達は私に促した
こくんっと頷くしか出来なくて私は車の方へと歩いていった
2人に背中を向けて取りに行く途中
「…堕ろすお金っていくらぐらいかかるもんなの?」
彼氏は小声で言ったに違いない
だが、彼氏のその言葉が聞こえてしまった
-キキタクナカッター
…昔、聞いた時「産んでいいよ」って言ってくれたよね…?
なんで1番最初に堕ろすお金を聞いたの…?
私…産んでいいんだよね…?
あの言葉を信じていいんだよね…?
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