命の選択を

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「ごめん…少し整理する時間ちょうだい」 昨日の夜、そう言われて別れた 実際、私も整理する時間が欲しかった。だけど“親になる”その覚悟だけは出来ていた 「もう着いちゃった…」 私が働いている仕事場 大型ショッピングモールの販売員として働いている 色々な事を考えていたら、すぐ着いてしまった なんか今日の私はいつもとは違う そんな感じがした 仕事に行く時も、また膨らんでいないお腹をシートベルトから庇いながら運転をしていたり、ムカムカはしたけどお昼をバランスよくいっぱい食べたりと妊娠を知ったあの日から、全てがらりと変わってしまった 私の赤ちゃん、聞こえますか?あなたの為に私は頑張るね。栄養いいものとかを食べるから、あなたはその栄養をいっぱい取って育ってね えへへと顔がにやけた 素直に嬉しい 産むとしてもまだ来年の話なのに、もう服なんか選んじゃったり。 男の子だったら青色で、女の子だったらやっぱりピンク色かな? ムカムカするのも前までは嫌だったのに、今は凄く嬉しい お腹の子が与えてくれてるものだったと知って、それは幸せに変わった 「必ず守るよ。だから安心してね」 自分にも言い聞かせていた ブーッブーッ バイブと共に携帯が鳴った 彼氏から電話だった 「…もしもし?」 取らなければよかった 切ればよかった 信じていたのに その言葉を 聞きたくなかった…
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