プロローグ

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―その日はとても寒い日だった。 冷たく吹く風は、そこにいるだけで犇々と寒さを実感させる。 人も車もましてや自転車すら通らない道の真ん中に、男はいた。 男は雲に覆われ、寒空の下に雪を降らす空を見つめていた。 雪は止めどなく、しかし決して激しくなく、ゆっくりと、しっとりと、徐々に濡らしていく。
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