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僕は興奮していた。ご馳走を目の前に置かれ、飛び付く猫のように、僕は彼女に飛び付いた。
滑らかな、肌に触れる。そして彼女を見やり、僕は口を開いた。
「いいんだよね?」
「うん」
上の空で二つ返事をする彼女は既に壊れていた。ただ、何かをぼんやりと眺めている。きっと何かを見ているようで、何も見てないんだろう。
僕は黒いソファーに彼女を寝かせた。 小さな空間だ。ソファーが両端に置かれた何にもない部屋。この空間に居座るのは僕と彼女と彼。
僕は彼を見た。眼鏡を掛け、前髪が淵に降りかかる位に伸びいていて、暗い印象を与える彼は、三山木(ミキヤマ)君だ。
「ちゃんと録ってよね」
「わかってます」
三山木君はズボンを降ろしていた。狂人めが。
まぁ言っちゃなんだが、僕はもっと狂人だけど。
サンテンゴミリ。頭に浮かぶ。指輪を外す。サンテンゴミリの幅の指輪。この間隔でいこう。何故かそう思った。
彼女の首筋に指を這わせ、白く艶やかな手首に、ナイフを刺した。
サンテンゴミリ。
「痛い?」
「うん」
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