ほとんど100cm

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3年生になる少し前 2年からメンバー変わらずの、我がクラスには噂が飛び交っていたのです <恐怖の女が戻ってくるらしい> 暴走族の総長で 筋肉はムキムキ(女子プロ顔負け!) 185cmある 少年院に入っていて、今は二十歳 ヤクザに殺されかけて、手術で入院してた 高校に戻ってくるのは内の学校の先生に殺したい人がいるからだ とか ビビりながら…と言うか、半分面白がりながら あたしもそうだったし そんな子いるかよーって 話のネタに困ったら使う話題みたいに 元々は <生徒にも先生にも嫌われる事で有名な隣のクラスの北川先生>が その子の話をしたのがきっかけだった どこまで本当か分からないけど 『悪影響になるから関わるな』って …そんな事、生徒の前で言うのもどうなのよって思ったけど 春休みが明けて、4月1日 暇な入学式を終えて、慣れない教室に戻った そんな噂、半分以上の子は忘れてたんだと思う あたしも同じグループの子の、ちょっとした恋バナを聞いていた ざわざわ がやがや ザワザワ ガヤガヤ 地味に生きるあたしには、調度良いクラス 苦手な人も少しいるけど、あたしには中々安心できるメンバー いつもと違うのは、教室くらい 噂のその子は 噂とは全然違っていた ムキムキでもなく 185cmでもなく 教卓の横に立ったのは、背の小さい女の子だった 年上なんて思えないような、どっちかって言うと年下な 可愛い、サラサラの黒髪の女の子 大きな目が白い肌に光ってた なーんだ、何だ! 悪いことしちゃった あんな噂してたなんて って、みんな思ってたと思う 普通の女の子じゃん!!って でも 『立花は長い間入院していたから、色々面倒見てやってくれよー』 のんびりした声のもうすぐ定年のおじいちゃん担任 その言葉の何が嫌だったのか 大きな目が、一瞬でしかめられた ギロリって音がしそうな ゾワゾワゾワっと鳥肌が立っちゃう位 新しいメンバーを迎える為に、和やかだった教室の空気が シーーンとした シーーーー-ンと 『じゃあ、立花挨拶して』 おじいちゃん先生、空気読めず 一分以上の沈黙だったと思う シーーーーーーン です 『………………………………………よろしく』 噂は嘘だったけど ただ者じゃないのです
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