ほとんど100cm

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校門で、大きなバイクに乗ってきたお兄さん達を片手であしらってるのも何度も見たし 体育の着替えの時間に見えた 大きな大きな手術跡も 肩の鯉の入れ墨も どこかこの世界とは違っていて あたしなんか関わる事はないんだろうなぁって みんなもそうだったと思う 卒業まで、この距離感を保てば良いって でも、変わった この人の世界を見てみたいって 6月 あの<北川先生>の体育の授業 その日はたまたま 本当にたまたま <生理痛のきつい女子ナンバー1>ユナちゃんが見学で さすが嫌われ者の北川先生 『たるんでる』なんて言い出して 『授業出ろ』なんて騒ぎ出し 体育館いっぱいに響く声で怒鳴りちらしました 何なのって 心の中で思えても、チキンなあたしには言えるはずもなく ユナちゃんは泣いちゃった その時には立花さんの表情が完璧に戦闘体制 『…その子、関係ないんだろ?あたし出るから、休ませてやれよ』 北川先生の怒鳴り声なんかよりずーっと、ずっと迫力があって スッと立ち上がっただけなのに、一瞬北川先生がひるんだ 何も言わない北川先生を挑発してるんだって、分かった その挑発に北川先生ものる 『手術後で大変だろ?』 ニヤッと気持ち悪いと評判の笑顔 『授業は出れないだろうから、腕立て100で許してやるよ』 この野郎っって思った 女の子だよ、女の子だよ?! 何なのコイツって あたしなんか1回もできないよ?! さらにドラマはこれだけで終わらない、新キャラ登場 『俺、代わりにやりますよ』 <クラス1のモテ男>の中村君が真ん中に張ってあるネットを越えて登場! 立花さんを庇うみたいに立った 普通の女の子ならキュンっとなっちゃうと思う 周りからキュン、キュン、キュンって音がした気がするし 庇ってもらって 女の子扱いしてもらって 『…あんた、誰?』 でも、立花さんは違った 『人の喧嘩に、口出すな』 背の高い肩を片手でグイっと引くと、信じられない位に簡単に中村君は尻餅をついた 男の子に助けを求める女の子なんかじゃなく もっと、凄く 強い こんな風になりたいって思った この人の世界を見たいって 本気で
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