ほとんど100cm

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7月に入って 梅雨が明ける頃には 立花さんとの距離が大分近づいて、隣に座るようになった 気持ち悪がられない程度に、図書室に行く回数も増やした 言っておきますが、レズじゃないです 立花さんは図書室で本を読むんじゃなく、いつも漢字のドリルを一生懸命やっていた …なぜか、小学生用のドリルを しかも文字がすっごく綺麗なの! お手本みたい 会話は相変わらず殆どないし 教室で話すなんて以っての外だけど 立花さんの隣にいるだけでキラキラがうつった気になる やっぱり、立花さんてすごい! いつか、聞いてみたいなと思った 何でドリルをやってるのかとか 何でそんなに字が上手なのかとか 真っ赤な鯉の入れ墨の訳も <友達>になったら 「立花さんに付き纏ってるって本当?」 話すのはいつ以来だろう? <クラス1のモテ男の中村君>が、ニヤニヤ顔で聞いてきた 顔はカッコイイ 昼休みのこんな時間 わざと大きい声 みんなを会話に巻き込もうとしてるのがすぐに分かった 「えー、そうなのー?」 「良いなぁっ」 「あたしも、話したーい」 何人かの女の子が興味ありげに声をあげた あたしだけじゃないんだ あの時に、立花さんと仲良くなりたいと思ったのは 「ねぇ、ねぇ、どんな話するの?」 「…そんな、別にあんまり話したりとか…は」 脇役の中の脇役のあたしは、注目されると途端に声が出なくなる あたしは<そっちの世界>の人じゃないから 「ふーん」 中村君がニヤッとした あたしはこの人のこの顔がすごく苦手だ みんながカッコイイって言う、それを分かってる顔 分厚い眼鏡の奥で、世界が軽く歪んだ 「付き纏うの得意だもんなぁ」 やめてって言いたいのに、声が喉に張り付いて出ない どこか遠くに感じる距離で 「どう言う意味?」とか「何々?」とか 一部の男の子がクスクスと笑っている声も聞こえた 指先が緊張で痺れてる あたし、一人だ 耐え切れなくなって俯くと、それに反比例するみたいにみんなの視線があたしから外れて一点に集中した 教室に入ってきた 立花さんに
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