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階段を駆け上がり、飛鳥の部屋の扉を乱暴に開ける。
扉壊れるぞ。
……それにしても、ここだけは変わらないな。
7年前から時が動いていない飛鳥の部屋。
「姉さん、兄さんを連れて来たよ」
久遠ちゃんらしからぬ声のトーンで告げた。
そこに俺達は踏み入れる。
……あの頃から何も変わらないな。
久しぶりに飛鳥の部屋に入ったのだが、最後に入った時と全く変わらない。
ベッドに勉強机、その上に置かれた1枚の写真。
「懐かしいな……」
その写真立てを手に取り、映っている写真を眺める。
彼女が死ぬ前に行った遊園地で撮った写真。
センターに俺と飛鳥が肩を組んでピース、美幸がその横でオドオドした感じで立っている。
久遠ちゃんは美菜さんにしがみついて顔だけこちらを見ている。
「兄さんって姉さんと昔から意気投合してたよね」
「アイツとは何かと波長が合っていたんだ。それで悪友になったんだ」
「悪友なの?親友じゃなくて?」
「あぁ」
「じゃあ恋人でもなかったの?」
……恋人、か。
そんな事考えた事なかったな。
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