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「咲夜、愛してるわ」
心臓が高鳴る。
その言葉に答えなければ。
でも、それは不可能。
だから、咲夜は別の言葉で返す。
「私も、御慕い申し上げますわ」
レミリアが少々
寂しそうな顔をした。
でも、今言ってもそれは偽物になる。
それを知ってか知らずか、
家事に戻るように命じた。
「………振られた」
「何が」
何かあると図書館で愚痴をこぼすのはレミリアの悪い癖だ。
「咲夜がいつまでたっても
言葉を返してくれないんだもの」
「今の関係だと、どんな言葉でも
『主を喜ばせる』っていう、
メイドの仕事になっちゃうもの。
仕方ないわよ。」
それは誰より咲夜が
一番理解しているであろう
忌々しき事実。
「かといって命令して済ませれるものでもないし。
あ、お疲れさま。」
妖精メイドから紅茶を受けとる。
一口飲んで「不味い」と一言。
酷すぎやしないだろうか。
まあ、その妖精メイドは
すでにいなかったのだが。
「外の世界では、誰でも簡単に、
美味しくお茶が淹れれるようにと
作られた『ティーバッグ』とか
いうのがあるらしいわ。」
「なにそれ」
「茶葉を水を通す特殊な袋で包んでるらしいわ。
お湯を注ぐだけでできるんだって」
「まるでカップラーメンだな、
ありがたみの欠片もない。
例え不味くたって、
メイドが私のためだけに
手間暇かけて淹れた、
私だけが飲むことを許される紅茶。
なかなかいいと思わない?」
「まあ貴方みたいな考えを持たず
ただ飲めればいいって考えてる
人間のエゴよ」
※ティーバッグ愛用者の人
すみません
「うちの猫は分かりやすいくせに手間かかるわね。
主と従者の関係を壊さずに且つ
気にしないでいい場面なんて、
無いでしょ………」
パチュリーがわざとらしく溜め息をついた。
無音の部屋に地味に響く。
「ん?待てよ?
ようは主と従者を気にしなきゃ
いいんでしょ?」
「レミィはそれが出来ないって
うーうー泣きついてきたんじゃない」
「うーうー言っとらんわ!
泣いてないし」
ゴホンと咳払いして話を戻す。
「そういう場面なら、
今思い付いた。
紙と書くもの出して」
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