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「なかなか面白そうなことを
お考えになりましたね」
「素敵なことでしょ?
じゃあ頼んだわよ」
「それはいいんですが………」
射命丸の振り替える足が止まる。
「どうしてこんなことを?」
「暇潰し。それで十分よ、
理由なんて。」
ひらひら手を振り、
部屋から出ていった。
もう話すことはないから
さっさと帰れ、とでも言いた気な顔で。
「お嬢様、紅茶をお持ちしました。」
「ん、ご苦労。
大広間使う予定ができたから、
一週間後までに整えといて」
受けとると同時に命令。
多少理不尽に見えるが、
咲夜は二つ返事で答えた。
楽しそうに微笑むレミリアは
紅茶を一口飲み、
仕事に戻っていく咲夜の背中を
見送った。
「さてと、私もそろそろ
準備しないと」
紅茶を飲み干し、日傘をもって
外へ向かう。
随分上機嫌な様子だった。
「いらっしゃい。
主の方が来るとは珍しいね」
「ごきげんよう、店主。
今日は買い物じゃなくて
依頼に来たの」
「依頼?これまた珍しい」
「ええ、これなんだけど、
仕立てて貰えるかしら?
他のが来る前に」
何か書いた紙を霖之助に渡す。
広げて少し目を通した霖之助は、
少々顔をしかめた。
「何かするのかい?」
レミリアはクスッと笑って、
「素敵なことよ」
歌うように語尾を上げて言った。
「代金は置いとくわね。
よろしく。」
「四日はかかるよ?」
「構いやしないわ。」
机の隅に巾着を置いて、
上機嫌の吸血鬼は去っていった。
お得意様の上にまともに
金を払ってくれる紅魔館の
主の依頼。
聞かないわけにはいかず、
また何となく嫌な予感がした
霖之助は作業を急いだ。
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