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「さてと、いよいよ明日ね。
思えば長かったわ」
「もっと単純な方法も
いくつかあったんじゃないの?」
図書館にて、レミリアは
妙にそわそわした様子で、
かつ楽しそうな表情をしていた。
「いいじゃない、
たまにはこういうのも。」
「それは私に対する皮肉?」
「さあ、何の事やら」
そっぽを向いて
手をひらひらさせる。
にやけた口元が密かに肯定した。
「すでに例の物は届いてるし、
大広間も使えるようにしてある。
ああ、明日が待ち遠しいわ」
何度も言う。タコが出来そうな耳にかかる髪をそっと揺らし、
パチュリーは本の続きを
読み始めた。
とことん動くのが嫌いらしい。
長年付き合ってきたレミリアは
それも熟知しているのか、
誘うのはもう諦めている様子。
「でも、どうするのよ。
誘っといて姿を消すなんて、
少々問題じゃないの?」
「酒飲みゃ細かいことには
気付かなくなるわよ。
一部の利口なのも
対策は打ってあるし。」
どんちゃん騒ぎが好きな幻想郷の住民達にとっては
誘った吸血鬼が少し席を外しても大した問題には
ならなさそうでもあるが。二人っきりでないと咲夜はまた
誤魔化すかもしれない。
天狗に邪魔されるかもしれない。
その心配も解決し、
余計にレミリアは時間の長さを
感じていた。
今まで比べ物にならないほどの時を生きてきたというのに。
まるで遠足前の小学生だった。
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