アナタノタメナラⅢ

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   他人のせいにせずにはいられないのに、憎む相手が思い付かないまま、煙となって空に昇っていく母を見つめた。  死に際の母は幸せそうだった。 「やっと、夏樹さんに会える……」  この時を待ち焦がれていたと、そう微笑んだ。 「母、さん……? っ冬美! 冬美ーっ!!」  遺骨を隠すこともせず、街中を歩く。  
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