しわくちゃの千円札1

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ここは、とある地方都市。 父は仕事もせず、酒を飲み、暴れる。 母は、家計を支える為、 朝は新聞配達 昼はスーパーのレジ 夜は、家で内職 働き詰の毎日であった。 父は、母に、暴力を振るっていた。 母、朝から夜まで、働きづめの上、 父の暴力でボロボロにされていた。 母は、痩せこけていた。 実際の年齢より、老けてみえる。 父は、ギャンブルに、母が必死で働いたお金を使っていた。 常にお金はない状態。 給食費も払えない状態。 家族が日々、食べるのが精一杯の極貧の生活。 僕は、そんな父が、こんな家が、嫌で嫌で仕方なかった。 当然、学費を稼ぐ為、小さい時から、ずっとアルバイト漬けであった。 僕も、大きくなり、父とのケンカが絶えなくなった。 一刻も早く、家から出たかった・・・いや、逃げたかった、すべてから。 高校卒業と同時に、就職で家を出ることになった。 念願の時である。 残る母のことは、心配ではあったが、自分の事で、精一杯。 旅立ちの日が来た。 母は見送りには、来ていなかった。 パートを休むことが、できなかった。 駅から、鈍行の電車に乗り、忌まわしき故郷から、旅立っていった。 職場のある駅に着く。 工場の場所が、わからないので、荷物から、地図を取り出そうとした。 そうしたら、荷物の中から、手紙が出てきた。 母からであった。 2に続く
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