2.面倒くさい女

22/22
前へ
/96ページ
次へ
「ばぁーーか!」 絢乃の大きな声が聞こえてくる。 振り返って絢乃を見ると、真顔で『ベー』と舌を出していた。 なんか、真顔だと可愛い中に怖さがあるな。 絢乃は、気が済んだのか俺とは反対方向に走って行ってしまった。 家、近くじゃなかったのかよ…... 俺も、また前を向き歩き出す。 けど、初めて聞いたな…... 絢乃の大きな声。 って...… 当たり前か…... 昨日、会ったばっかりだしな。 「悪い奴じゃないよな……」 今日の事を思い出す。 絢乃がいた事で…... 今日は、いつもと…... 少し違う日常だった。 変わった奴で…... 何考えてるのか、わからなくて…... 面倒くさい女だけど…... 何故か、放っておけなくて…... 少し気になる。 恋愛感情とかは、当然ないけど...… なんて言うか…... こぉ〓人として?   そう。 ただ人として...… 絢乃が気になってしまう。 いない時まで面倒くさい女だな。 絢乃の事を考えながら歩く俺は...… 自分が無意識に微笑んでいる事に気づいていなかった。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

185人が本棚に入れています
本棚に追加