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「一夜も、初めて?」
俺は…...
咲の顔が浮かぶ。
一瞬、顔が引きつる。
「俺は、2回目かな……」
絢乃から、顔を逸らして答える。
「悲しいの?」
……ッ!
絢乃の顔を見る。
絢乃の透き通るような瞳が俺を見据えていた。
なんで…...
なんでこいつは、いつも俺が思ってる事がわかるんだ?
ダメだ。
やっぱり、今日は…...
「悲しくなんて……」
「楽しもう♪」
俺の言葉を遮るように、絢乃が俺の手を握る。
えっ?
「お、おい……お前……」
「違う、あ・や・の」
絢乃の表情は、いつもより少し和らいでいて…...
少し、ドキッとしてしまった。
なんだよ…...
絢乃の奴、こんな顔も出来るんだな。
「はぁー」
ため息が出る。
なんでだろうな...…
さっきまで、嫌な気分だったのに…...
何故だか、こいつといると安心してしまう。
絢乃に手を引っ張られている俺の顔は、少し微笑んでいた。
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