1.沙希(さき)

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「ねぇ〓…...」 少女が口を開く。 「私と付き合ってみない?」 少女の口から出た言葉は、まったく予想していなかった言葉で…... 俺は、ただ…... 少女を見ている事しか出来なかった。 少女の表情は、変わらない。 その表情からは、まったく感情が読みとれない。 ただ、少女の瞳は…... 『悲しさ』を俺に伝えてくる。 「無理だ」 俺は、人と付き合う事は出来ない。 だって、俺の彼女は…... 俺の好きな人は…... 咲だけだから。 少女からの申し出を断り屋上の扉に向かう。 また明日、出直そう。 「私の事は……沙希って呼んでね」 えっ? 沙希って呼んでって…... こいつ、話聞いてなかったのか…... だから…... 「俺は、お前を沙希とも呼ばないし……付き合わない」
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