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すぐ傍まで走って
たまたま持っていた
ハンカチで押さえてあげた
「いたいのいたいのとんでけー
もう大丈夫だよっいたくないよ」
「ふぇーん」
なかなか泣き止まない
確かその時、俺は
下を向いて泣くたかくんの
顔を手であげて唇に…
ちゅっ
キスをした
するとぴたっと泣き止み
「いたくないでしょ?」
「…うん」
俺のファーストキスはたかくん
たかくんのファーストキスは俺
幼いながらも
俺は恋心を抱いていた
「たかくん、だいすきだよ」
―今も昔も、この気持ちが変わることなんてない
―――――――…
「亮ちゃーん」
大声で俺の名前を呼びながら
飛びこんで抱き着くこいつ
「貴久…痛い」
「大丈夫大丈夫!」
大丈夫って…
そりゃあ貴久はなんともないやろ
「亮ちゃん
僕、今日居残りあるから
待っててね!」
「はいはい」
毎日行き帰り一緒に行っとるから
貴久に居残りがあるときは
いつも高校の校舎の前で待っている
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