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『鬼道さんが好きです。でも、鬼道さんは俺の事好きじゃないですよね。大丈夫です、知ってますから。だけど俺は鬼道さんが好きで、好きすぎて、毎日毎秒あなたの事だけを考えているんですよ。目を閉じれば瞼に浮かぶのはあなたの姿、それってとても幸せな事ですよねぇ。俺、ここまで人を好きになったの、初めてなんです。心臓が痛くて顔が熱くて、血液が沸騰しそうなくらい愛しいんです。ねぇ鬼道さん、俺はあなたが好きです。愛しています。鬼道さん、鬼道さん鬼道さん鬼道さん鬼道さん…』
つらつらと言う佐久間に恐怖という感情を抱いた。
まるでそれが当たり前だというように、俺へ言葉を贈る。
柔らかい言葉ならまだいい、渡された佐久間の言葉はどこか不気味で、さらにそれを可愛らしい笑顔で押し付けてくるのだ。
ひく、と口の端が引き攣ってしまう。
『愛しています。大好きです。あなたが望むならなんでもします。ああそうだ!誓いの印しに、小指でも切ってお渡ししましょうか?』
冗談のつもりなのか、本気で言っているのか、
しかし今のこいつなら喜んで指を切り落としてしまいそうだ。
俺を見る目はどこか夢心地で、奥の奥のずっと底では狂気が渦巻いている。
『あなたが俺のものになればいいのに。俺、鬼道さんの事、すごい大事にしますよ。ねぇ鬼道さん、早く俺の事好きになってくださいよ。なんでもしますから。愛しいんです、恋しいんです、言葉なんて陳腐なものじゃあなたへの想いを伝えきれないけれど、俺は本気であなたが欲しい。捕まえて離したくない。誰にも見せたくない。ゴーグルの下の赤い瞳は俺だけのもの、だから鬼道さんは俺だけ見ててくれればいいんです。ああ、鬼道さん、あなたは罪深い人ですね。あなたのせいで俺はこんなにも狂ってしまいました』
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