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工藤静江は兄妹を引き取ってからは、いつだって愛情を持って守ってくれる存在なのだ。
哲弥達が住んでいる家の前を通る時に、学校の子供達は決まってこう言うのだ。
『息を止めながら親指を隠して通らないと貧乏が移る』
誰が言い出したのかは分からない。
いつしか皆がそうやって家の前を通るのである。
そんな時も部屋で泣いている哲弥を気にして、工藤静江は竹ホウキを片手に子供達を追い回していた。
泣き止まない時には、お手製の米で作った揚げ餅もどきを哲弥と美奈に作る。
哲弥が小学校5年生になった時に、宮城県からひとりの女の子が転校してきた。
彼女の名前は佐倉亜貴。
不思議な女の子だった。
その子はクラス、いや学校の皆を敵に回してでも哲弥を守ってくれる存在であった。
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