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登校拒否になりかけていた工藤哲弥の前に現れた佐倉亜貴。
静江は哲弥にもっと好意を持ってもらおうと、一生懸命に限られた材料を工夫して、家に呼んでは佐倉亜貴に料理を振る舞った。
哲弥の中学校の進路を決める時期には、厳しく就職するよう静江の口から告げられる。
でも泣いていた。
涙の理由はただひとつ。
本当は高校に行かせたいという気持ちがあったからだ。
それでも厳しく就職するよう言わなくてはならなかった、工藤静江の葛藤や苦悩は誰よりも孫である工藤哲弥が理解していた。
いつだって工藤静江は兄妹を守り、貧乏ながらに強い愛情を注ぎ続けてくれたことに感謝という一文字だけじゃ気持ちを表すことが出来ない。
遠い記憶が甦る。
それは悲しい事件から強い愛情に纏わる幼き記憶だったのだ。
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