最期の嘘

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……… …… … 「婆ちゃん…」 病院のベッドで眠っている静江の横で呟く哲弥。 封印していた遠い記憶が甦って目頭が熱い。 どうやら暫くは入院状態が続くとのことだった。 美奈はねねと一緒に病院の売店でジュースを買いに行っている。 哲弥も気分転換に病室から出ることにした。 院内の総合待合室に行くと、美奈とねねが並んで座ってジュースを飲んでいる。 「どう?お婆ちゃんは…」 哲弥の姿に気づいて美奈が聞く。 「ぐっすり寝てるよ」 哲弥もねねを間に挟んで座った。 「お婆ちゃん元気になるかなぁ…」 オレンジジュースを片手にねねは上を向いて言う。 「きっと良くなるわよ」 そう言って、美奈はねねの頭を撫でた。
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