最期の嘘

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「さっきさ…、昔のことを久し振りに思い出したんだ。そう言えば、あの頃の美奈は今のねねぐらいの歳だったよな…」 「お父さんとお母さんが亡くなった日?」 「あぁ…」 「そうだね…、でも私はまだ2歳だったから、正直全く覚えてないんだよね」 「そりゃそうだ、お前はずっと泣いていたんだぜ?今のねねみたいにさ」 哲弥は苦笑した。 「私?」 「そうだよ、私だよ、わ・た・し…」 わざと茶化してみる。 「仕方ないじゃない」 美奈が頬を膨らませた。 「あの時さ…、もしも婆ちゃんが警察署にいる俺達を迎えに来なかったら…どうなってたんだろうな…」 「そうね…」 「婆ちゃんの寝顔を見ていたら…、ふと思ったんだ」 「孤児施設で育てられたかもしれないわよね」 「そうだな…」
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