最期の嘘

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一週間後。 会社の喫煙室でタバコを吸っていると、合コンが大好きな同僚の荒井が入ってきた。 「よっ」 荒井は片手を挙げて一言だけ挨拶する。 「おう」 哲弥も同じように一言のみの挨拶。 荒井はタバコに火を点ける。 「ふぅ…」 深い溜め息混じりで白い煙を吐く。 「何だ何だ、どうした?何かあったのか?」 荒井の様子に気づいた哲弥が聞いた。 「彼女が妊娠してさ…」 「へぇ…、良かったじゃん、おめでとう。あれ?彼女いたんだっけ?」 「一応いたんだけど、突然いきなり妊娠したって聞いて、正直俺はうろたえてるんだよね…」 「何で?」 「だってさ…、俺は結婚するつもりはまだないし、父親なんかになれる自信がないんだよね」 「じゃあ…、どうするつもりなんだよ」
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