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「ぎゆぎゆーー!!」
大きな毛むくじゃらは、あわあわと木の陰に隠れてしまいました。一方二ーナは、自分より大きい毛むくじゃらがあんまりびっくりして叫ぶので、自分の驚きなど吹き飛んでしまったようです。
落ち着いた二ーナが木の方に目をやると、木の陰から三角の耳と赤くて鋭い瞳が覗いてガタガタ震えています。
「ねぇ、でておいでよ」
二ーナはこわがらせないように、そっと優しく声をかけました。しかし、相手はさっと木の陰に隠れてしまいました。そしてぶるぶる震えた長くふさふさした尻尾だけしか見えなくなりました。
「あら?ねぇ、こわがらせちゃってごめんね」
「‥‥‥‥」
「ねぇってば」
「‥‥‥」
「もう大丈夫だからでてきてよ」
毛むくじゃらは何度声をかけても木の陰からでてきません。二ーナは近くの切り株に座り、それでも声をかけつづけました。自分が怯えるほど相手を驚かせてしまったのかと思うと、放っておけなかったのです。それに、無理矢理姿を見に行くのもまた、驚かせてしまいそうでできませんでした。
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