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「ねぇ、でておいでよ。こわくないよ」
二ーナの何度目かのこの言葉で木の陰からそっと、三角の耳と赤くて鋭い瞳がこちらを覗きました。じーっと二ーナを見ています。もう震えてはいません。
「あっ、やっとでてきた。ねぇ体も全部でておいでよ」
二ーナはパァァっと顔を輝かせ、立ち上がりました。しかし毛むくじゃらはふるふると首を振り、それ以上出てこようとしません。
「まだこわいの?もう大丈夫だってば」
「‥‥‥‥」
「まぁ、いいや。そうだ、私は二ーナ。よろしくね」
「ぐゆ?」
「握手だよ、握手。なかなおりの握手」
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