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「ハハッ。そうだな。好きにしろよ。」
「する。」
リクが即答して歩き出したルフに続いて後ろからついてくる。ルフは「生意気だな。」っと苦笑しながら呟くがリクには聞こえてないようだ。
ルフはリクを暫く見て少し考え事をしたように見えたが、また再び歩き出した。
それから数ヶ月たった。
リクは死刑囚の中でも一番幼いらしく、よく他の死刑囚達に絡まれていたがよく、ルフと一緒にいたためルフが助けていた。
リクとルフが一緒にいる姿はまるで親子のように見えた…
「ルフ。あんたは何で死刑囚なんだ?何したんだ?」
壁にもたれながら目を瞑って眠ろうとしていたルフに呑気な声がかけられる。
ルフは瞼を開けて目の前の赤い奴に目を向ける。
「ルフ?」
ルフは眠いのか、こいつは珍しい赤い髪に赤眼で目立つから死刑囚達に絡まれるんだ、なんて事を考えておりリクの質問を聞いていない。
そんなルフを見て、リクが無視されたと思ったのかなにやら怒りだす。
「オレの話聞けよ!!」
「!な、なんだ?」
どうやらなにも頭に入っていないらしい。
「だから!ルフは何で死刑になったの?」
「……何でいきなり?」
「え…だってルフは他の死刑囚達みたいに狂ってないし…優しいし。なんだろ…父親って感じだからさ…何でルフみたいな奴が死刑囚なんかに…」
「……」
ルフが何か考え込む顔をしたと思ったからリクは、「辛いなら別にいいけど…」とルフを気遣うが、ルフはリクを見て、「いや、話してやるよ。」と言う。
リクはルフの隣に黙って座る。それを見てルフは昔の事をかたりだす。
「オレは十年前アーイズ村っていう小さな村に妻と一歳になったばかりの息子と一緒に三人で暮らしていたんだ。オレが二十四歳の時だな。それでオレは警備の仕事に勤めていたんだ。で、ある日オレは貴族の警備の仕事が入ってきて仕事の為に村に家族を残して一週間後に帰ってくる約束をして仕事に行ったんだ…。でも…仕事が終わって村に帰ったら…村は跡形もなく、なくなっていた…」
だんだんルフの声が低くなっていって、顔色が悪くなっていく。リクはルフに悪いとは思っても聞かずにはいられなかった。
「どうして?村の人達は…ルフの家族は?」
ルフは暫く黙っていたが、暗い顔のままリクの質問に答えた。
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