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時は七年前。
九歳のアルはパーティー会場にはいなく、エルーの父親の部屋にいた。
――――――――――――
「お話とは何ですかな?アル様。」
陛下がソファに座っているアルに笑いかける。
アルはまず、丁寧に挨拶とエルーの誕生日の祝いの言葉を述べた。
陛下もそれに感心するように頷いていた。
そして、一通り挨拶をすませれば、アルは真剣な目付きに変える。
陛下もそれに気付きアルを真剣に見た。
「お話しはこの城に捕らえている囚人の事です。」
「囚人…ですか?」
「はい、ルフ・アミルゲート、という名の男がいますね?今日処刑されたと言う。」
「…アミルゲート…確かに、そのような囚人がいましたのは確かです。」
「…そのアミルゲートの事で父上からお手紙を預かってきました。」
「ルムナンド様からですか?」
「はい、どうぞ。」
アルは懐から一つの手紙を取り出す。手紙の真ん中にはルールシア国王家のマークが印されている。
その手紙を受け取った陛下は丁寧に手紙を開き、ゆっくりと目を通した。
「……『アミルゲートの罪状が不明覚の為、身柄を此方で預かりたい。』……アル様…これは…」
思いもしなかった内容に戸惑い、アルに訪ねる陛下に対してアルは落ち着いて話始める。
「アミルゲートはまだ処刑されていない筈です。王族は自分の家系の人が産まれた日に人を殺すことを災いが起きると信じ、昔から殺すことをしなかった。貴方もそうですね。」
静かに言うアルに陛下はうなだれるが、やがて小さくため息をつくとアルを見た。
「確かに…アミルゲートはまだ生きております。しかし、何故アミルゲートの罪状をお調べに?」
「それは…手紙の続きをお読みください。」
首を傾げた陛下は手紙の二枚目を読み始める。
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