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「…それでルフはボクの側近になったんだ。」
歩きながら説明していたアルが、ちょうどミスラの森の入り口に着いたとき話を終える。
「何でもルフが生きてくれていて良かった。だけどルフの息子って結局誰なんだ?会えたのか?」
気絶しているネムの母親、リリアをおんぶしているリクが同じようにネムの父親、ガルスをおんぶしているルフを見る。
ルフはその質問に首を振る。
「息子には会っていない。あいつはもう大人になっている。今更会おうとも、父を名乗ろうともしないさ。困らせるだけだからな。だから悪いが息子が誰とかは言えないんだ。」
「せっかく解ったのに?」
理解できないような顔でルフを見ながら質問するエルーにルフは優しく笑う。
「生きてくれただけでいい。」
その答えにやはり理解できないのかエルーは首を傾げたがそれ以上問いはしなかった。
城に向かい、歩きだすと先頭を歩いていたネムがリクの目につく。
頭にはあの帽子。
ずっと不思議に思っていた。あの帽子は武器になり、猫になり、しかも喋る。
疑問に思ったリクがアルに近づいて聞いてみた。「アル。ネムのあの帽子…どうなっているんだ?」
「あー…ネロの事?あれは魔物だよ。」
「「魔物!?」」
聞き耳たてていたエルーの声がリクとキレイにハモる。
大きな反応にアルも驚くがそのまま説明しだす。
「う、うん…ネムの家系は三百年続く魔物使いの血の濃い家系なんだけど三百年前、初代のパートナーがネロなんだよ。」
「?…あいつ…ネロが三百年生きてるっていうのかよ。」
「生きてるんだよ。三百年。」
きっぱりいうアルにリクとエルーは何も言えなくなる。
「ネロは最初はただの魔物だったんだけど三百年前に人間に捕まって改造を繰り返される内にあんな力を持ち、死ねなくなったんだ。心臓を貫かれない限りね。まるで悪魔みたいに。」
悪魔という言葉にリクは苦しそうな表情を見せる。
それに気づかないアルはそのまま話を続ける。
「人間からネロを助けたのがネムの家系の初代の人らしいんだ。それからネロはネムの家系…ワウリントの家系を守っているんだ。」
「そう…なんだ…」
短くエルーは返事をするがリクは反応しずどこか遠くを見ていた。
「…暗くなってきた。早く城に戻ろう。」
空を見上げたアルがそう言う。5人は早足で城へ急いだ。
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