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「えいっ!!」
ラルシリアンの王女の部屋、その部屋のベランダに小さな体を持ち上げベランダの枠に登ろうと必死に頑張っている姫の姿が見える。
「ん〰!!あと少し――……――きゃあっ!?」
姫が足を踏み外してバランスを崩し、ベランダから落ちる。姫は恐怖で目を瞑る。すると下から声がしたと思ったら落下が止まるだが、痛みは感じない。するとまた、声が掛かる。
「姫様!!」
目を開けるとそこには青い髪に橙色の瞳をした、一人の少年が姫をお姫様抱っこしていた。
「!!ラルフ…」
「貴方は一体何をなさっているのですか!?ボクがここを通らなければ今頃どうなっていたか…」
「えへへごめんね。」
「ごめんね、じゃないですよ!!」
ラルフと呼ばれた少年はゆっくりと姫を降ろす。もちろん怒ってはいるが。
「姫様!?いいですか?何かあってからは遅いので用がある時はボクをお呼びください!!ボクは貴女の側近なんですから!!」
「わかってるよ~…」
「姫様!!むくれない!!」
「私の事は名前で呼んでよ…みんな姫様、姫様、って私にはエンジェルって名前が有るのよ…?」
「あ…そうですね…エルー様。」
ラルフがニックネームで呼ぶとエンジェルことエルーはたちまち笑顔になる。
ラルフはエルーの笑顔につられて一緒に微笑んでしまう。
ラルフはエルーより三つ上だがラルフはまだ十一歳だ。その年で大人並に戦いに慣れているためエルーの側近に就いた。エルーの事を一番に考えるが少々心配性の傾向がある。
「それよりエルー様?何故ベランダから飛び降りてきたのです?」
「飛び降りたと言うより落っこちたの。ベランダから隣の部屋に行こうとして――」
「――はい?」
「あっ!!」
「エルー様!!まさかまた、お城の外に出ようとしましたね!?」
「ち、違っ!!」
「何が違うんですか!!エルー様のお隣のお部屋は転送魔方陣が書かれている所。そこから外へ行こうとしたのでしょう!?」
エルーはラルフの問い詰めにうろたえる。どうやら図星らしい。
「外に行ってみたいの…」
「成人するまではならないと陛下に言われてるでしょう?」
「お父様は私の何もわかっていないからそう言えるのよ…」
「陛下はエルー様の身を心配しているのですよ。生まれつき魔力が高く、精霊召喚魔法の使い手ともなると命を狙われるかも知れないのです。陛下はその事を阻止しようとしているのですよ。」
「…わかってる。でもね私は…」
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