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世界には、現在三つの大陸が存在する。
北にラウレナ大陸、南にフェルスラント大陸。両大陸の東方にカストラ大陸。
三大大陸中、最大の面積を持ち、大陸全土が統一された国家を築いているラウレナ大陸。
ラウレナ大陸の三分の二ほどの面積でありながら、十数か国に分かれ、戦の絶えないフェルスラント大陸。
他の二大陸に比べ格段に面積が小さいのはカストラ大陸である。この大陸は野生の獣が多く、人が生活するには厳しい。
そして――。
かつては、もうひとつの大陸が存在した。
シェルディアという名のその大陸は、カストラとさほどかわらぬ面積しか持たなかったが、人は多く暮らしていた。
しかし、他大陸の人間からは恐れられていた。
もちろん、カストラのように野生の獣が跋扈していたわけではなく――その理由は、シェルディア大陸に暮らす者たちの特異性にあった。
彼らには、他大陸の者にはない特殊な能力があったのである。
その能力ゆえに忌み嫌われ、いつしかシェルディアは『闇の大陸』と呼ばれ……その地に住む人々も『闇の血族』と称されるようになった。
しかし、今やその大陸は存在しない。
ある時、忽然と姿を消したのである。
海に沈んだのだという者もいたが、定かではない。
そうして、闇の大陸は幻となり、いつしか人々の中で、伝説と化していったのだった……。
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