序章 ─絶望─

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最近よく嫌な夢を見る。 そこは自分以外誰もいない暗闇の中。夢の中の自分は、ただ呆然とたたずんでいる。まるで動く気配がない。とゆうより、彼は動けない。彼は鎖で繋がれている。両手足は、使い物にならない。視線を上に、顔にもってくる。特に変わった事はない。…いや、実際変わったことはあるのだが、これがそう何日も続くと代わり映えない風景に見えてくるため、特に違和感は無いのだ。 そこには、欠落のみが存在する。悲しみや憎しみの感情など何もない。自分を見ているはずが、何か恐ろしい気持ちになってゆく。 夢の中の自分には 両目がなかった。 この夢をみるたび、あの事を思い出してしまう。 あの、忌々しい事件を。
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