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強い風が吹く度に、身体中が何か鋭いものに引き裂かれるような気がする。
道沿いに植えられた落葉樹の葉はとっくに散っていて、これから迎える本格的な冬を待ち受けているようだ。
…家から50mくらい歩いたとこで、後ろの気配に気づいた。
……〝山田〟だ。
恐らく昨日のことについて話をするつもりだろう。しかし今はなにも話したくない。話す気になれない。朝からあんな夢を見て、その上あんな現実を受け入れなければならなかったから。
しかし、山田は小走りで
「秋月、待てよ」
と、俺の横に並んできた。
そこには意外にも、いつもと違う顔をした山田の姿があった。
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