君との出会い

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そのあと、彼は私のところへ戻ってきた。 「ありがとうな」 そう言ってボールを差し出された。 ボールを受け取って、「いいえ」と微笑んだ。 すると彼はじっと私を見つめたと思ったら、 「ふーん。 よく見ると、お前さん可愛いな」 と、不思議な事を言ってきた。 「へ?」と小さく言ったら頭をポンポンされて。 「変なやつの標的にされるんじゃないぞ。 まあ、小さいから大丈夫だとは思うんじゃけどな。 んじゃ、またな」 彼は後ろを向いて、そのまま歩いて言った。 その背中をじっと見つめながら、私の中は混乱していた。 今…なんて言ったの? 「可愛いな」? しかも、頭ぽんぽんって…ん……ええっ!! みるみる顔が熱くなって、頬に手を当てる。 多分、顔が真っ赤になってると思う。 可愛いだなんて初めて言われた。 それも見ず知らずの人に…頭もぽんぽんされて。 尋常じゃないくらい心臓がドキドキしているのが分かる。 心臓の音がうるさくて、更に恥ずかしさがまして。 チョコは私に近付いて、目の前でお座りをして尻尾をフリフリしている。 「チョコ…どうしよう。 知らない人に可愛いって…頭ぽんぽんって」 「くぅ?」 チョコは不思議そうに目を丸めて首を傾げながら、尻尾をフリフリしていた。 私は不思議なふわふわな世界にいるかのように、ぼーっとしながらチョコにリードを繋いでぼーっとしながら家路についた。
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