君との出会い

7/12
前へ
/19ページ
次へ
久しぶりに交わした親子の会話。 それで温かい気持ちが一杯になる。 そう思うと、自然に笑顔になれた。 「チョコも元気そうでなによりだ。 向こうにいる間、沙歩がチョコを死なせてしまってないか少し不安だったよ」 ちょっと笑顔をひきつりつつも、眉間に皺を寄せつつも、私はそんな酷い事する人間ではありませんと、丁寧に丁寧に言ってあげた。 洗面台に行き、歯磨きと洗顔を済ませて朝食をとった。 朝食をとってる間はお父さんと他愛もない話をしていた。 ロスの話を夢中で聞いていたら、そろそろ行かないと遅刻してしまいそうな時間になっていた。 「いっけない、急がなきゃっ! 行ってくるね」 急ぎつつもお父さんに笑顔を向ければ、返ってくるのはいつもの優しい笑顔での「行ってらっしゃい」。 心が温まりつつも、ドタバタと家を出た。 少し小走りで学校へと向かい、何とか朝のHRには間に合った。 自分の席に座って肩で息をする。 額には汗がうっすらと滲んでいて。 「あ゛ー…疲れたあ…」 「珍しいな、沙歩が遅刻寸前とか」 隣を見れば海斗がいて、微笑んでくれた。 それにまた胸がトクンとなって。 少々ぎこちなく笑顔を返して、今朝の事を話した。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加