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「はははっ。
お前の親父さん、いつも急に帰ってくるもんな」
「そうなんだよねー。
そういうとこどうにかして欲しいよ」
そう愚痴をこぼしていると、担任が入ってきて教卓の前に立った。
みんな急いで席に付いて、一斉に挨拶をした。
「おはよう。
今日は、一足遅れたクラスの子を紹介します。
昨日話したわよね?
それじゃ、入ってきて」
クラス中がざわざわし始めて、どんな人なんだろう?とか、かっこいいといいなあとか、みんなの想像が膨らんでいく。
ガラッと戸が開いて、その人が入ってきた…けど…。
「嘘…」
まさか…。
「この子が山中将流くんよ」
先生がその人の名前を黒板に書いたけど、そんなことよりも、目の前の現実に驚きが隠せなかった。
女子が黄色い声を上げて頬を薄く赤く染めている中で、私は耳まで真っ赤になるくらい顔が赤くなっていると思う。
「山中雅流です。
適当に呼んで貰って構わんぜよ。
これから宜しくの」
ぼーっとしながら顔を赤く染めている私に、海斗が声をかけた。
「沙歩?
どうした?」
何で…。
「山中くんは、あああそこ。
葉月沙歩さんの隣よ」
その人はこっちに向かってきて、私の前の隙間から隣の席にドカッと座った。
「なんで…?」
「ん?
おー、誰かと思ったら昨日の」
その人とは、昨日ボールを取ってくれて、私を可愛いって言った人。
それを思い出して、更に真っ赤になった。
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