君との出会い

8/12
前へ
/19ページ
次へ
「はははっ。 お前の親父さん、いつも急に帰ってくるもんな」 「そうなんだよねー。 そういうとこどうにかして欲しいよ」 そう愚痴をこぼしていると、担任が入ってきて教卓の前に立った。 みんな急いで席に付いて、一斉に挨拶をした。 「おはよう。 今日は、一足遅れたクラスの子を紹介します。 昨日話したわよね? それじゃ、入ってきて」 クラス中がざわざわし始めて、どんな人なんだろう?とか、かっこいいといいなあとか、みんなの想像が膨らんでいく。 ガラッと戸が開いて、その人が入ってきた…けど…。 「嘘…」 まさか…。 「この子が山中将流くんよ」 先生がその人の名前を黒板に書いたけど、そんなことよりも、目の前の現実に驚きが隠せなかった。 女子が黄色い声を上げて頬を薄く赤く染めている中で、私は耳まで真っ赤になるくらい顔が赤くなっていると思う。 「山中雅流です。 適当に呼んで貰って構わんぜよ。 これから宜しくの」 ぼーっとしながら顔を赤く染めている私に、海斗が声をかけた。 「沙歩? どうした?」 何で…。 「山中くんは、あああそこ。 葉月沙歩さんの隣よ」 その人はこっちに向かってきて、私の前の隙間から隣の席にドカッと座った。 「なんで…?」 「ん? おー、誰かと思ったら昨日の」 その人とは、昨日ボールを取ってくれて、私を可愛いって言った人。 それを思い出して、更に真っ赤になった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加