君との出会い

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それから目が離せなくて、じっと見つめていると、 「山中と、仲良いのか?」 言いながらも、海斗は私から目を逸らそうとしない。 心臓が速くなるのが分かって、バレて仕舞わないか少し不安になる。 「き、昨日…ちょっと親切にしてもらって…」 「親切?」 ぐっと顔が近付いてきて、もう少しでお互いの鼻がくっつきそうな程。 私の心臓は破裂寸前で。 「う、うん。 チョコと遊んでたら、ボールを川に落として…それで、困ってたとこを…」 「ふーん」 海斗は顔を後退させ、拗ねたような顔をしたと思ったら、にっこり笑って。 「なら、いい奴なんだな」 私はうんと頷いた。 あの目は何だったんだろうか…。 何か、私に訴えていたような。 「沙歩、勉強いいのか?」 「え…あっ!!」 今日は課題テストの日。 昨日のことといい、今日の朝といい…勉強をしていなかった。 毎日のように勉強をしていたが、点数が取れるかどうか…。 「やっぱり勉強してなかったか」 「どうしようどうしよう! 全然分かんないよー…」 半分泣きそうになりながらおたおたしていると予鈴が鳴り響いた。 急いで席に戻り、気を沈ませる。 ああ…どうしよう…。 入学早々、赤点とっちゃったら恥ずかしいよね…。 小さくため息を付いた。
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