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「何じゃ、溜め息なんぞ吐いて」
「実はね…」
山中くんの方を見ると、シャーペン片手に黒縁眼鏡を掛けていて、トクン…と胸がなった。
なんか…格好いいかも。
眉目秀麗とは、この人の為にあるんじゃないかって思うほど。
「何じゃ?
ジロジロ見なさんな」
山中くんは困ったような顔で眉間に皺を寄せた。
はっとして「あ…ごめんごめん」と目を前に逸らした。
配られたテストを裏返し、チャイムの音で一斉に書き始めた。
数学だけは苦手だあ…。
そう心で呟いて、渋々書き始める私。
無意識に溜め息を漏らしたことも分からず問題に苦戦する。
これは赤点決定だなと確信したけど、一応頑張って問題を解いていった。
何だかんだやってお昼休み。
テストで既にショートしかけてる私は、海斗をご飯に誘って勉強を教えてもらおうとした。
そこに、
「樹ー、一緒食おうぜ?」
「おう!
いいぜ」
クラスメイトから声をかけられて、そのグループの中に行ってしまった。
そこで私は気付いた。
友達、作ってない…。
ぽつんと一人だけ席に座っていた。
どうしようか悩んだ時、
「ねえ?」
後ろから声を掛けられ振り向いた。
後ろにいたのは、少しだけぽっちゃりしたロングヘアーの大人しそうな女の子と、逆にほっそりしたショートヘアーのボーイッシュな女の子の2人。
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