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私には中学から好きな人がいる。
その人は、
「沙歩[サホ]ー!」
向こうから走ってくる、幼なじみの樹 海斗[タツキ カイト]。
「ん、どしたの?」
隣に海斗が並ぶと、身長の差がありすぎていつも見上げなきゃいけない。
私は149cmで、海斗は182cmという33cmの差がとても大きい。
でもそんなことも嬉しかったり。
「入学式一緒行こうぜ?
どうせ、明日まで親はいないんだろ?」
確かにそうだ。
私の父親は、今ロスから帰っている所だ。
インテリアの仕事をしている父親は、自分たちのインテリアを世界に広めようという会社の都合で、何ヶ月か向こうに滞在しなくてはいけなかったらしい。
母親は、私が小学生の頃に病気で亡くした。
兄弟もいないから、今は大きな一軒家に私は一人で暮らしてる。
あ、パピヨンのチョコがいた。
だから今は一人と一匹で暮らしてる。
「うん。
一緒行こう」
そのことで一緒に行こうって言ってくれる海斗の気遣いにまた胸が熱くなる。
こんな気持ちにしてくれたのは、海斗だよ。
君が綺麗に微笑んでくれるから、君が小さな気遣いをしてくれるから、君が私を気にかけてくれるから、私は君に恋に落ちたんだよ。
でもそんなことは伝えられないよ。
君には、彼女がいるから…。
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