3年の片思い

3/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「ねえ、海斗」 「ん?」 「彼女とは…上手くいってる?」 無意識に聞いていた。 それを聞いて、多分君は驚いてるよね。 彼女いるなんて海斗自身からは聞いたことないから。 「…まあまあかな」 そういって君は頬を掻いた。 少しの間があったのが気になったけど、深い意味は無いだろうと、考えるのはやめることにした。 この幸せを壊すわけにはいかない。 自分に言い聞かせて、何度も諦めようとした。 でも溢れ出るだけで諦めきれない自分がいた。 だから高校も無理して同じ場所にしたわけで。 「クラス、同じだといいな」 そんな言葉が聞こえてきて、私は一瞬ドキッとした。 幼なじみだから一緒にいた方が楽しいって事なんだよね、きっと。 それでも、嬉しいって思う私はどうかしてしまったのか。 「うん、そうだね」 笑顔で返して自分の気持ちを隠した。 どうか、この気持ちを吐き出させて。 でも、もし気持ちを吐き出せば、君とはぎくしゃくしてしまうかもしれない。 君の幸せを壊してしまうかもしれない。 だから私は、心に閉まって今の状況で過ごそうと決めました。 その方が君のためであり、自分のためでもあって。 きっとその方が私も君も幸せなんだと思うから。 …どうして、海斗なんかに恋に落ちてしまったのだろう。 明るくてかっこ良くて勉強も運動も出来て…モテないはずがないのに。 苦しくて辛い恋をしてしまったのはどうしてなの? って、さっきとは正反対な事を私は考えていた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!