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「ねえ、海斗」
「ん?」
「彼女とは…上手くいってる?」
無意識に聞いていた。
それを聞いて、多分君は驚いてるよね。
彼女いるなんて海斗自身からは聞いたことないから。
「…まあまあかな」
そういって君は頬を掻いた。
少しの間があったのが気になったけど、深い意味は無いだろうと、考えるのはやめることにした。
この幸せを壊すわけにはいかない。
自分に言い聞かせて、何度も諦めようとした。
でも溢れ出るだけで諦めきれない自分がいた。
だから高校も無理して同じ場所にしたわけで。
「クラス、同じだといいな」
そんな言葉が聞こえてきて、私は一瞬ドキッとした。
幼なじみだから一緒にいた方が楽しいって事なんだよね、きっと。
それでも、嬉しいって思う私はどうかしてしまったのか。
「うん、そうだね」
笑顔で返して自分の気持ちを隠した。
どうか、この気持ちを吐き出させて。
でも、もし気持ちを吐き出せば、君とはぎくしゃくしてしまうかもしれない。
君の幸せを壊してしまうかもしれない。
だから私は、心に閉まって今の状況で過ごそうと決めました。
その方が君のためであり、自分のためでもあって。
きっとその方が私も君も幸せなんだと思うから。
…どうして、海斗なんかに恋に落ちてしまったのだろう。
明るくてかっこ良くて勉強も運動も出来て…モテないはずがないのに。
苦しくて辛い恋をしてしまったのはどうしてなの?
って、さっきとは正反対な事を私は考えていた。
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