3年の片思い

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「なんか、沙歩…よな」 声が小さくてあまり聞こえなかったから、私は「え?」と聞き返そうとしたとき 「やっぱり沙歩だ!!」 って、女の子の声が聞こえてきた。 女の子の方を見ると、ショートボブな髪型を巻いている栗色の髪の子だった。 その子は私の前に立った。 「あたしだよ、鹿子 結菜[シシネ ユイナ]! ほら、小学校一緒だった」 「鹿子…あ、ゆいちゃん!?」 「そうだよさーちゃん!! 久しぶりーっ」 結菜は机越しに私に抱き付いて頬をすりすりしてきた。 そんなとこは小学校から変わりはないようだ。 「やっぱさーちゃんの頬、すべすべで気持ちいいなー」 「ちょっ、ゆいちゃん」 「結菜?」 「ん? …あーっ!! かい君も一緒だったの!!」 結菜は今度は海斗に近付いて、何かを喋っている。 時折見せる海斗の笑顔は結菜に向いていて。 心がズキズキして少し痛い。 その笑顔は私だけに見せて、私だけに向けてって思ってしまった。 私は結菜に嫉妬しているみたいだった。 「あ、そろそろ時間だね。 またね、2人とも」 結菜は台風のように去っていった。 懐かしい人に出逢った喜びと、海斗の笑顔を向けられた結菜に嫉妬したこと。 まだ心のズキズキは取れない。 自分ってこんなに正直で、こんなにも嫉妬深かったのかって気付いた。
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