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ドサッ!!
(そんな…………。)
少女の瞳が大きく見開かれる。
「シロ…ガネ……?」
(シロガネ、傷だらけだ…………。)
少女の目の前には全身、傷だらけで意識を失ったシロガネが居た。
(私の……せいだ……)
「そうだ、お前のせいだ。」
「?!」
少女の心を見透かしたかののようにラオが言う。
「フッ………お前に力が無いからだ。なぜ、お前はここに居る?アイツを助けるためじゃなかったのか?コイツを傷付けるために居るのか?」
ラオは鼻で笑いそう、言い捨てた。
ラオの言っていることは、もっともな意見だ。
助けるつもりが逆に助けられ、終いには少女は足手まといになってしまったのだ。
「もともと、シロガネは殺す予定だったから…お前が居て助かったよ。」
そう少女に吐くとラオはシロガネの首を掴み、持ち上げ、短剣を取り出した。
「!! や……めろッ……!!」
声を振り絞り、出す。
(もっと…もっと、私に力があれば!!シロガネや、あの人を助けれたかもしれないのに!!)
「グッ………!!」
体に力を入れるが入らない。
ラオが短剣を振り上げ、そして振り下ろした。
しかし、その瞬間…少女の心に《声》が聞こえた。
〈ヨワイ、ヨワイ・・・・ヒヨワ ダ〉
そして、《声》と同時に周りの時間が止まった。
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