<自我喪失>

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ラオは、吹き荒れる風と少女の断末魔の声に驚き、振り向いた。 「な、なんだ?!」 少女の周りには身を切られるほどの風が吹き荒れていた。 「これは………。」 そこには少女ではなく、尾が九つある狐――【妖狐】がいた。 妖狐は馬ほどあり、瞳は黄金色で、額には白い紋様が刻まれていた。 「グアアァアアァァァァァ!!!」 凄まじい咆哮が辺り一帯の空気をビリビリと震えさせた。 「ウッ……!!」 (クソッ…ただの咆哮で!) 木々で休んでいた小鳥たちは恐怖で飛び立ち、地上に居た動物達もまた一目散に逃げていく。 ラオは妖狐の凄まじい咆哮でシロガネと共に吹き飛ばされてしまった。 そして、妖狐はゆっくりとラオに近づいていった。 .
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