<自我喪失>

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「グルルル!!!」 (コロス コロス コロス!!!) 妖狐が唸ると地面から黒い霧が現れた。 黒い霧は一点に集まり出し、密度を増し、硬くなっていった。 そして地面と繋がったまま細く伸び、物凄い速さでバケモノ達へと向かっていった。 そして――――――――― 「ギャンッ!!」 「キャンッ!!」 「キャウンッ………」 黒い霧は3匹のバケモノをいとも簡単に貫いてしまった。 「なっ………。」 愕然とした。 3匹同時にやられてしまったのだ。 しかし、黒い霧でつくられた触手は攻撃の手を休める様子は無い。 他のバケモノ達も次々とやられていった。 「クソッ………!!」 (あれをやるしかないか…) ラオは、妖狐の攻撃を止めるべく、腰に提げている笛を手にした。 (効いてくれると良いんだがな…) ♪~♪~♪~♪~… ラオが笛を吹き始めた。 すると、 「グルァ……!!」 妖狐が顔をしかめ、体を強張らせた。 ラオは〈獣奏者〉と呼ばれ、笛を使い獣と心を通わせ、会話をすることができる。 しかし、妖狐は〈神獣〉と呼ばれる部類に入る、神聖な生き物のため、ラオの術が効くか定かではなかったので、ラオは心配だった。 だが―――――――――― .
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