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「グッ・・・・!!」
(効いたか?!)
(マサカ、キサマ・・・ジュウソウゾク ノ マツエイ カ !!)
ラオの頭のなかに妖狐と思われる声が聴こえてきた。
その声は、まるで地面から聞こえてくるような…くぐもった声だった。
(〈やはり少女の自我は無いか…〉へ~…オレの一族の正式な名前を知っているとは…貴様、融合前の記憶があるのか?)
ラオは笛を吹きながら妖狐と対話をした。
(アル。ソシテ アノ バショ デ ナニヲ サレタカ オボエテ イル・・・ハッキリト)
(はっきりと?お前は、お前なのか?)
(オモシロイ コトヲ キクナ、コゾウ・・・ワタシ ハ ユウゴウ サレタトキ イクツカ ノ キオク ガ ワタシ ノ ナカニ ナガレテ キタ)
(融合された生き物、全ての記憶がか?)
(タブンナ・・・ソシテ イマ ワタシ ノ キオク ハ ソノナカデ イチバン センメイニ ノコッテイル キオキニ シテイル。)
(ってことは、お前の記憶じゃないってことか?)
(ソレハ ワカラヌ…タダ、アノ ムスメ ノ キオク モ ワズカズカダガ ノコッテイル)
(〈娘…№2-813のことか…。〉貴様は………!?)
ラオが次の質問をしようした時、妖狐の触手と思われるモノが地面から離れ、クナイの様に茂みの中から飛んできた。
(スコシ、シャベリ スギタ・・・)
「クソッ……」
不意を突かれたラオは手にしていた笛で防いだ。
しかし
ドスッ!!
「グッ……。」
避けきれなかった数本が太股に一本、腕に一本、刺さってしまった。
ジワリとラオの服を血が紅く染めていく。
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