<自我喪失>

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(クソッ…勝てる気がしねーな…。アイツ等も怖じ気ずいていやがる) バケモノ達も遠回しに妖狐を見ていたのだ。 「そりゃそーだわな…あんな攻撃を出されたら。」 そして、ラオは一匹のバケモノを隣に呼んだ。 「ファイ!!」 すると何処からか一匹のバケモノが出てきた。 ラオはファイに指示を出した―――― 『逃げろ』と。 ファイと呼ばれたバケモノは心配なのか一瞬、悲しそうな目をした。 「そんな顔するなよ…。〈アレ〉をするだけだから。」 ラオはそう言うと優しくニコリと微笑んだ。 ファイは安心したからなのか、服従心からなのか命令を実行した。 「ワオォォオオオォ……ォン!!」 ファイは命令を全体に伝えるため遠吠えを行った。 すると一斉にバケモノ達の顔がファイに向けられた。 それを確認したファイは走り出した。 ファイに続いて他のバケモノ達もついていった。 「よし…。」 「コロサレナイヨウニ ニガシタカ…」 今まで静かにしていた妖狐が口を開いた。 「違う…今からお前にやる事はアイツ等にとって【毒】だから逃がしたんだよ。」 「フン…ナニヲ ヤロウト ムダダ」 妖狐は、余裕の表情をラオに向ける。 「アイツ等に毒ということは、貴様にも【毒】だ。獣笛が少なからず効いたから【毒】も効くさ。」 そう言うと、ラオは親指と人指し指を口に持っていった。 .
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