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ラオは、ファイの背中に乗ると未だ眠っている漆黒の髪の少年の元へとファイを導き、
「ファイ、こいつも頼む。」
と、言った。
「……(コクリ)」
ファイは、嫌がる素振りも見せずラオの命令に従い、少年も背中に乗せた。
「や、やめろ!!その人を…返せ!!」
少女は、ラオが少年を連れて帰るのだと分かると悲痛な声で叫んだ。
「無理な相談だ…。言ったろ?コイツには利用価値があるって。」
「最初は私にもあるって…。な、なんでその人だけ?」
少女は少年を連れていかれないよう必死につなぐ。
「貴様は一度、自我を喪った……だが貴様は取り戻した。」
「…え?」
「何も覚えてないだろ?この傷も。」
ラオは妖孤の霧の触手によってつけられた腕の傷を見せた。
「?!」
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