何気ない日常

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私は昔から喉が弱かった。 「叶絵ちゃんは扁桃腺が大きいから熱を出しやすいんだよ。」 と、かかりつけの内科の先生に言われる。 目の前にあるのは、私、篠原叶絵(しのはらかなえ)のカルテ。 古びて、黄ばんだカルテは、やけに分厚い。 「叶絵ちゃん、うがいをちゃんとしてね! お薬も出しておくからね。」 と先生はニコッと笑う。 「はーい。 ありがとうございました。」 と私は椅子から立ち、診察室を出る。 ダルい体にボーッとする頭。 そっと、体をさすってみると、あちこち痛いかも。 何より喉が痛い。 正直な話、うがいや手洗いをあまりしない子供だったので、 「うがいなんて面倒。」 なんて言いたかったけど、言えなかった。 だから家には、うがい薬が処方されたそのままの形で残っていたりする。 使わないわけではなく、1日数回使うはずが、1日1回くらいしか使わない。 だから、余りまくる。 薬と名が付くだけあり、使いすぎも良くないだろうけど、使わないのもマズイかな?と内心思う。
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