『オモイの』詰め合わせ

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空を眺めてみました。 そこにあったのは蒼い(あおい)空ではなく、白い空でした。 色が消えてしまった空。 私以外、他の人は誰も気づいていないようです。 太陽も、月も見えない白い空。 蒼い(あおい)ということが、こんなにも大切だということに気づいていませんでした。 蒼い(あおい)空、それは過去の遺物になってしまいました。 昨夜、天使にこんなことを聞かれたました。 1の愛と、100の優しさをあげる。 君はどっちが欲しいの?? 僕は答えました。 1の愛をください。 そうすると、天使が言いいました。 どうしてなの?? 僕は答えました。 優しさは大切だけど、愛がない優しさは本当の優しさじゃないと思うからです。 一緒に目を閉じよう。 (Close your eyes) 春。 息吹(いぶき) 夏。 活力 秋。 平静(へいせい) 冬。 安息(あんそく) 春夏秋冬、日本人に与えられた特権。 目を閉じれば見えるもの。 それは過去でも未来でもない。 自分自身が求めている世界だった。 忘れ行く、幼き頃の記憶。 学校帰りに見た風景。 今は面影を残さず。 夕暮れ時に感じたあの気持ち。 今は感じること出来ず。 変わり行く時代。 その中に、心残してきたのかもしれない。未だ大人になれない。 そんな、今日この頃。 過ぎ行く時間はとても早く、 思い出ばかりを増やしていく。 もっと今を感じたい。 だけど、思いと時の早さは比例せず。 前を見つめ、その先にある道を進む。 そして、ふと、空を眺めてみた。 そこには、あの時と変わらない夕暮れがあるように感じた。 私の全てを差し上げます。 まずは、私の優しさを奪ってください。 私は冷徹(れいてつ)な人間になり、人に嫌われましょう。 次に、私の体を奪ってください。 私は貴方を悦ばせる(よろこばせる)人形となりましょう。 最後に命を奪ってください。 私は恨みません。 それで、貴方が慈しむ(いつくしむ)心に気づくことが出来るのであれば。 私はそれだけで満足です。 生きた証を残すことが出来たのだから。
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