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つぶらな瞳。
その先に何を見るの?
横になり、一点を見つけるその瞳。
「ねぇ、起きてよ。」
揺する手が段々強くなる。
「もう、暗くなってきたよ。
帰ろう。」
だけど、少年は一点を見つけたまま動かなかった。
そして、体は除々に冷たくなり、少年は石になった。
少女は少年の傍に(そばに)座り込んだまま、少しずつ近づいてくる闇の中へと消えてしまった。
「明日、あなたは死にます。」と、宣告された。
今夜が最後の晩餐(ばんさん)。
食べたいものを考えてみた。
(あれも、これも食べたい。)
と、欲が尽きません。
(どうしよう…。)
悩んでいた時だった。
ふと、頭を過ぎったのは母の味噌汁だった。
食べたい…。
そう思うと、死への恐怖、母への愛情が湧き上がり、涙が止まらなくなった。
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