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一緒に行くって話をしてた川にはもう行けないね。
こんな時だから楽しい事を考えないといけないのに、今の私はこんな暗い話しか考える事ができない。
体操座り、この体勢は安心感がある。
弱い私はこうやって、内側から溢れる感情を抑える事しかできないのだから。
何でなんだろう…?
考えてもいなかったよ、君がいなくなってしまうなんて。
人は失って気づく。
17歳の私でもそれは分かってたんだよ。
だけど、居なくなってしまう事は分からなかった。
一度手をつないでくれたね?
私はあの時の事は鮮明に覚えてるから。
私もいつかはそっちに行くね。
でも、まだ行けない。
私は行くまでに君を見つけてみせるから。
絶対に。
だから、君にまた逢い(あい)たいな。
天邪鬼(あまのじゃく)でごめんね。
一度でいいから好きって言っておけばよかった。
私、強そうに見えた?
そんな事はないんだよ、私は強くないから強がってたの。
今の私の姿見たらびっくりしちゃうね。
口元がしょっぱいよ、また涙が溢れてきちゃう。
星をつなげて君を探してしまう。
この中にいるんだよね?
君にも私を見つけて欲しいな。
深海に一人っきり。
光も届かない場所。
聴こえてくるのは自分の心音だけ。
目を開いても、見えてくるのは永遠に続く闇。
闇は怖い、見えないものが見えてしまうから。
光よりも闇の方が友達になれる気がする。
少し怖いな。
だから、親指を4本の指でそっと包みこむ。
すると、少しだけ安心する。
ここは光も届かない深い闇の底。
親指を包んだ手を、口元にゆっくりと運ぶ。
はぁ…。
そして、また目を閉じ、心音を聴き(きき)続ける。
それが、今出来ることだから。
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