『オモイの』詰め合わせ

4/6
前へ
/12ページ
次へ
一緒に行くって話をしてた川にはもう行けないね。 こんな時だから楽しい事を考えないといけないのに、今の私はこんな暗い話しか考える事ができない。 体操座り、この体勢は安心感がある。 弱い私はこうやって、内側から溢れる感情を抑える事しかできないのだから。 何でなんだろう…? 考えてもいなかったよ、君がいなくなってしまうなんて。 人は失って気づく。 17歳の私でもそれは分かってたんだよ。 だけど、居なくなってしまう事は分からなかった。 一度手をつないでくれたね? 私はあの時の事は鮮明に覚えてるから。 私もいつかはそっちに行くね。 でも、まだ行けない。 私は行くまでに君を見つけてみせるから。 絶対に。 だから、君にまた逢い(あい)たいな。 天邪鬼(あまのじゃく)でごめんね。 一度でいいから好きって言っておけばよかった。 私、強そうに見えた? そんな事はないんだよ、私は強くないから強がってたの。 今の私の姿見たらびっくりしちゃうね。 口元がしょっぱいよ、また涙が溢れてきちゃう。 星をつなげて君を探してしまう。 この中にいるんだよね? 君にも私を見つけて欲しいな。 深海に一人っきり。 光も届かない場所。 聴こえてくるのは自分の心音だけ。 目を開いても、見えてくるのは永遠に続く闇。 闇は怖い、見えないものが見えてしまうから。 光よりも闇の方が友達になれる気がする。 少し怖いな。 だから、親指を4本の指でそっと包みこむ。 すると、少しだけ安心する。 ここは光も届かない深い闇の底。 親指を包んだ手を、口元にゆっくりと運ぶ。 はぁ…。 そして、また目を閉じ、心音を聴き(きき)続ける。 それが、今出来ることだから。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加